ヘルペス後神経痛に対するTENSとプレガバリン

Clin J Pain. 2010 Sep;26(7):567-72. doi: 10.1097/AJP.0b013e3181dda1ac.

Pregabalin and transcutaneous electrical nerve stimulation for postherpetic neuralgia treatment.

本日1本目はヘルペス後神経痛PHNに対するプレガバリンとTENSの鎮痛効果に関する論文です。今や5-6人に1人はヘルペス(帯状疱疹)にかかるとされており、皮膚症状から重症となるとさまざまな重篤な合併症を引き起こす疾患です。胸部や腹部、顔面、四肢のあらゆる部位に発症し、急性痛はおよそ2-3週間続きます。徐々に自然治癒で痛みも消えていきますが、炎症が強い場合、神経損傷に伴って痛みが慢性的に続く慢性神経痛に移行します。痛みの程度はさまざまですが、臨床でも耐え難い痛みを抱えておられる症例もよく経験します。その出現率は25%との報告もあり、PHNのQOLの低下は大きな問題となっています。現在のところ治療の中心は薬物療法で、三環系抗うつ薬、オピオイド、トラマドール、ガバペンチンなどがあり、近年はプレガバリンがよく使用されています。プレガバリンは過剰に興奮した神経において、そのカルシウムイオンチャネルのα2δサブユニットに結合して神経伝達物質の放出を抑制する薬理があり、効果発現が早く、長期投与の減衰も少ないことが挙げられています。一方、TENSは伝統的なゲートコントロールや内因性オピオイド、疼痛閾値の増大や感覚可塑性変化などさまざまな効果があるとされています。難治性のPHNに対してこのメカニズムが違う2つを組み合わせてみてはどうかという論文です。デザインはplacebo-RCTで安静時VAS60mm以上のヘルペス発症後3か月経過し、疼痛やアロディニアがある患者さんです。介入は4週間、投薬治療とTENSを実施されました。投薬はプレガバリンを調整し、24hで300mgと600mgの群にサブグループに分けられ、それぞれplaceboとTENSを受けました(計4群、n=30)。その結果、もっとも効果があったのは600mg+TENS群で、その鎮痛効果は40%(最終平均VAS25mm)、次いで300mg+TENS群、そして600mg+placebo、300mg・・・でした。なんとTENSが投薬並の効果がある可能性が示されたわけです。VAS同様、夜間時痛やマクギル、QOLも同様の結果でした。TENSのパラメータについては表記が怪しかったのですが、20msの矩形波、50Hzのバースト?で30分間に強度も変調させたとありました。電極設置部位は神経痛部位周辺です。作用機序の詳細は不明ですが、臨床効果は投薬並??かもしれません。副作用もほとんどないですし、安全ですので、もしPHNでお困りのかたがおられましたら主治医と相談し、検討してみてもよいかもしれません。まだ未発表データなのでここでお話しできませんが、当研究会のテンス徳田が今年度の日本理学療法学術集会でPHNに対するTENSの効果についての症例報告を発表予定ですので、ご興味ある方は是非ご一読を!!