2本目は和歌山国際厚生学院の北裏先生によるマイクロカレント Micro-current electrical nerve stimulation MCENS,MENSのレビューです。MCENSは1960年代、動物の軟部組織の治癒は四肢の再生を根拠に開発され、損傷電流と呼ばれる損傷部位が電気的に負の状態になる理論を応用したものです。その強度は1Aの1000分の1のさらに下、数十~数百μAです。ですので、知覚することはほとんどありません。直流の場合、陽性電極直下では負の電荷を帯びているマクロファージや白血球などが遊走し、陰性電極下では正の線維芽細胞が遊走するとされております。その他基礎研究でも多くの生理作用がうたわれてますが、未だはっきりしない点が多いのも事実です。(私が無知なだけかもしれませんが・・・)。その臨床応用は、難治性の褥創にたいして、THA,TKAのope後の創傷治癒に、足関節捻挫に対して炎症の軽減と組織の早期回復などに使用されています。中でも難治性の下肢静脈潰瘍に関しては従来のドレッシングや圧迫に加えてMCENSの使用にて治療効果の促進やcost-effectiveな点が報告されています。遅発性筋痛に対してもいくつか効果のあった報告があり、どうやら創傷治癒促進に効果的なようです。一方、鎮痛効果については未だ不明な点が多く、その作用機序もはっきりしません。いずれにしても臨床応用やRCTも少なく、エビデンスも乏しい状況ですが、今後より明確な基礎研究やより科学的で良いデザインの臨床研究の報告が待たれるのと、基礎と臨床を継ぐTranslational Researchが課題といったところでしょうか。実際PT分野というよりエステや整骨院、スポーツ現場でよく使用され、市販されている機器も多数あります。電流が小さいのである意味完璧なプラセボが確立できます。理学療法においてどういった分野で活用できるのかについてはまだまだ研究が必要なようですが、臨床に定着していくためにはやはりある程度の作用メカニズムと明確な臨床効果を兼ね備えたサイエンスベースドな結果が求められると思います。
<参考文献>
J Wound Care. 2011 Oct;20(10):464, 466, 468-72.
Modelling the cost-effectiveness of electric stimulation therapy in non-healing venous leg ulcers.
Taylor RR, Sladkevicius E, Guest JF.
Middle East J Anesthesiol. 2009 Oct;20(3):411-5.
Effect of microcurrent skin patch on the epidural fentanyl requirementsfor post operative pain relief of total hip arthroplasty.
Sarhan TM, Doghem MA.
Pain Med. 2011 Jun;12(6):953-60. doi: 10.1111/j.1526-4637.2011.01140.x. Epub 2011 May 31.
Microcurrent transcutaneous electric nerve stimulation in painful diabetic neuropathy: a randomized placebo-controlled study.
Gossrau G, Wähner M, Kuschke M, Konrad B, Reichmann H, Wiedemann B, Sabatowski R.
J Appl Behav Anal. 1998 Fall;31(3):493-6.
Reductions in self-injury produced by transcutaneous electrical nerve stimulation.
Fisher WW, Bowman LG, Thompson RH, Contrucci SA, Burd L, Alon G.
Rehab Manag. 1991 Feb-Mar;4(2):34-5.
Microcurrent therapy; wave of the future?
Wieder DL.
コメントをお書きください
sex telefony (水曜日, 01 11月 2017 01:00)
naprzeciwko
czytaj dalej (金曜日, 17 11月 2017 22:00)
nieodkotwiczenie