パーキンソン病患者に対する運動介入の有効性:レビュー

Mov Disord. 2008 Apr 15;23(5):631-40. doi: 10.1002/mds.21922.

The effectiveness of exercise interventions for people with Parkinson's disease: a systematic review and meta-analysis.

 
本日1本目は、パーキンソン病患者さんに対する運動療法のシステマティックレビューとメタアナリシスです。おそらく理学療法士じゃない方が書かれているのか、健康増進的な視点で、どういった運動介入がいいのかというまとめ方です。理学療法も一つの運動介入ととらえられています。Foxらはパーキンソン病患者さんに対する運動に関して5つの訓練原則を提唱しています;(a)集中的訓練によるシナプス可塑性を最大にする;(b)複雑な活動が大きな構造的適応を引き出す;(c)報酬のある課題はドーパミンレベルを高め学習を促進させる;(d)ドーパミン細胞は活動,非活動に非常に敏感である(use it, or lose it);(e)早期段階で運動介入を行えば進行を遅らせることが可能である。レビュー自体はシンプルなものだったのですが、あとで読み返してみるとん??と思うことが・・・。まず身体機能について。UPDRS等をoutcomeにしているのですが、もっとも効果量が高かったのは、体幹筋力増強+有酸素運動介入、ついでPT+BWSTT、PT+投薬治療、あまりコントロールと変化ないのが在宅理学療法でした。体幹筋力増強+有酸素運動介入はPTの一環としてされています。PTは気功よりわずかに効果量が高いようです・・・。どうやらPTは身体機能を上げるには有効なようです。一方、QOL(SIP、PDQ39、EQ-5D)はどの介入もコントロールと比べるとわずかに良いようですが、在宅理学療法がもっとも高い結果となっていました。メタアナリシスの解釈は気を付けなければなりませんが、ある意味臨床と合致するところはあるなと感じました。様々な問題を抱えるパーキンソン病患者さんにとって運動療法介入単独では限界があると思います。上記の結果からもわかる通り、たしかに身体機能は上がります。それだけで十分なのでしょうか?リハビリテーションチームで解決しなくてはならない問題とは一体何なのでしょうか。その中で理学療法士が責任をもって介入しなくてならない問題とは何なのでしょうか。ふと考えされられるディシジョンツリーでした。ともあれ、PTとして身体機能・動作能力を上げることはもっと突き詰めないといけない!!!
 そこで一度シンプルに振り返ります。立ち上がり。これを改善したい。殿部離床時に後方重心となり伸展相で後方に転倒し着座してしまうというよく遭遇する問題点です。前方に手がかりをおいてみる。荷重フィードバックにて前方重心をフィードバックさせる。それぞれ視覚、聴覚、体性感覚などのフィードバックを繰り返し練習することで改善させる。症例の動画を見ながらdiscussionしました。PDの病態からなぜこうなるのか?これらフィードバックは本当に自動化につながるのか?最近のneuroscienceの知見から新たな介入が浮かびそうな予感もありますが、中々ピカンと発明しない今日この頃です。