全人工置換術後の神経筋電気刺激NMES

Eur J Phys Rehabil Med. 2013 Dec;49(6):909-20. Epub 2013 Nov 28.

Neuromuscular electrical stimulation after total joint arthroplasty: a critical review of recent controlled studies.

 
NMESはTKA後の大腿四頭筋の筋力増強手段として使用されています。その目的は、大腿四頭筋の随意的な活性化が不十分な患者に十分な訓練量を提供すること、筋力増強を促通すると考えられている神経生理学的メカニズムを関与させること、大腿四頭筋の神経筋システムに一般的な物理的ストレスを与えることです。その主な目的は,TKA直後に特徴的に起こる回復しにくい急激な筋力低下を軽減させることです。
 近年、NMESは臨床研究、RCT、Cochrane reviewで注目されており、TKA患者の大腿四頭筋の筋力と身体能力の改善に関して、NMESの総合的な効果には相反するエビデンスが存在すると報告されています。しかし、介入パラメーター(使用方法、強度、時間、術後の時期)が研究間で異なっています。このレビューの目的は、TKA後の大腿四頭筋の回復の時間経過について、NMESの生理学的メカニズムを背景において、最近の臨床研究を批判的に評価することでした。
TKA後の多くの患者は、疼痛と自己報告による機能は劇的に改善するが、客観的な身体能力の障害が残存する。健常高齢者と比較して、TKA後6ヶ月でTUGは63%遅くなり、階段昇降速度は104%遅くなる。
 TKAは手術直後に急激な大腿四頭筋の筋力低下を引き起こすことが特徴的です。術後1ヶ月で大腿四頭筋の筋力低下は50~60%低下し、多くの患者で術前のレベルまで回復しないことがエビデンスで示されています。
 比較的健康な高齢者において、術後6~13年経過しても大腿四頭筋の筋力低下は残存していると示されています。また,大腿四頭筋の機能障害は、歩行速度の低下、バランス障害、起立動作能力の低下と関連し、転倒リスクを増やすとされてます。つまり、大腿四頭筋の筋力低下は、身体の健康や自立した生活を送る上で重要なアウトカムに直接的に影響を与える可能性が高いので
す。
近年の研究により,TKA後の筋力低下は主に①筋性,②神経性の要因で生じており,特にTKA後は神経性要因によるものが強く,その後廃用性筋萎縮に移行すると考えられております.そのため,大腿四頭筋筋力低下に対する治療戦略には,神経系の回復に着目すべきであり,NMESが活用できるというわけです.
 
近年4つのRCT研究があり,それぞれ考察されております.

Comparing conventional physical therapy rehabilitation with neuromuscular electrical stimulation after TKA.

Levine M, McElroy K, Stakich V, Cicco J.

Orthopedics. 2013 Mar;36(3):e319-24.

 

Early neuromuscular electrical stimulation to improve quadriceps muscle strength after total knee arthroplasty: a randomized controlled trial.

Stevens-Lapsley JE, Balter JE, Wolfe P, Eckhoff DG, Kohrt WM.

Phys Ther. 2012 Feb;92(2):210-26.

 

Improved function from progressive strengthening interventions after total knee arthroplasty: a randomized clinical trial with an imbedded prospective cohort.

Petterson SC, Mizner RL, Stevens JE, Raisis L, Bodenstab A, Newcomb W, Snyder-Mackler L.

Arthritis Rheum. 2009 Feb 15;61(2):174-83.

 

Does electric stimulation of the vastus medialis muscle influence rehabilitation after total knee replacement?

Avramidis K, Karachalios T, Popotonasios K, Sacorafas D, Papathanasiades AA, Malizos KN.

Orthopedics. 2011 Mar 11;34(3):175.

 

以上の4つの研究から要点をまとめると

  • NMESはTKA後早期に実施すべきである
  • 治療効果を高めるには高頻度のNMESが必要かもしれない
  • 筋力増強には高強度のNMESが必要かもしれない
  • NMESは監視下の練習に付加するものとして最も効果的である

 

NMESのメリットは

1)患者は、適切な強度で随意的な筋力増強訓練ができない術直後に随意収縮の障害を呈している。

2)NMESは自己管理でき、毎日効果的に実施できる。

3)NMESは適切な用量にて、筋力、身体機能、健康面で劇的かつ持続的な改善をもたらす

こととまとめられています.

 

我々の研究会でも,TKA後,ACL後の筋力増強にNMESを付加する研究を実施しております.大和橿原病院の吉田先生らによる研究において,TKA後感覚刺激NMESにおいても刺激なし群と比較して術後有意な筋力の改善を認めております(日本物理療法学会会誌,in press)

この感覚刺激は上記研究のNMESよりも痛みが少ない(ほぼない)ため,患者さんの受け入れがよく,コンプライアンスを高める方法としてはアリなのではと考えております.

研究成果は順次HPにアップしてまいります.

 

 

 

 
 
 
 

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コメント: 2
  • #1

    sextelefon (水曜日, 01 11月 2017 03:36)

    wytargnąwszy

  • #2

    sextelefon (金曜日, 03 11月 2017 17:21)

    sobótczanin